満月の思い出【ポルトガル・アレンテージョの花畑で】
これほど自宅に長くいる日々は初めて、の自粛生活で早々に購入したものは「ハンモック」でした。朝に、夕に、とゆらゆら揺られて空を眺めていると、幸せな気持ちになり、旅には出られないけれど、旅の情景がたくさん思い出されます。
ハンモックが憧れの一つになったのは、ポルトガルの旅でした。ファドという音楽を聴きに行こうと、計画を立て出かけたひとり旅。
旅の中盤に日本人の方が当時されていた宿に宿泊。ここで出会ったのがおそらく最初。
アレンテージョ地方の大草原の中にあるその宿の、庭の木にくくりつけられていた心地よさそうなハンモック、でした。
もともとのんびりと暮らすように旅をしたい方なので、あまり予定は詰め込まないで出かけます。日がな一日、そのハンモックをお借りして、ゆらゆら揺られながら、お昼寝、そして、置いてあったアンデルセンの本等を読んで過ごしました。なんとも幸せなひとときです。
その景色によく合っていたアンデルセンの本は「絵のない絵本」という本で、お月様が見たものをある絵描きに話して聞かせる全33夜、でした。
毎晩、宿のベッドで深夜に目を覚ますと、まぶしいほどのお月様が窓からこちらをのぞいておりました。
アンデルセンはこういうところからあのお話を書いたのかな、と自然に思える見事なお月様でした。